
本記事では深層崩壊と呼ばれる、
地面が岩盤ごと滑る現象のメカニズムについてや、
そもそも深層崩壊とは?について解説します。
皆さんは深層崩壊って聞いた事あるかな?
これは土砂災害の一つで、地面が岩盤ごと滑る現象。
すごく簡単に言うと、土砂崩れの強化版みたいなイメージ。
今回は深層崩壊とはについてや、
深層崩壊のメカニズムについて触れて行きたいと思います。
目次
深層崩壊とは

深層崩壊とは
深層崩壊はあまり聞きなれない単語だとは思いますが、
深層崩壊も土砂崩れも基本的には同じ土砂災害です。
地面の崩れ方の違いで深層崩壊や表層崩壊と言ったように名称が異なるのです。
そう、深層崩壊や土砂崩れの違いを説明するには、
ここで土砂の崩れ方の概念を解説していきましょう。
表層崩壊と深層崩壊とは
一般的な土砂崩れは下の画像のように、
表土層と言われる土や砂の土壌が岩盤に沿って滑り落ちて行く、
表層崩壊が土砂崩れのメカニズムです。

引用:国土交通省,深層崩壊に関する渓流(小渓流)レベルの調査について
一方、深層崩壊では表土層を含みながら岩盤までもが崩れ落ちてしまう、
この現象が深層崩壊と言われる現象です。
地滑りなどが深層崩壊で起こる土砂災害なんだ。
深層崩壊の方がより多くの土砂が、より多くの範囲に流れでるの危険性はかなり高いです。
深層崩壊の被害
では、深層崩壊はどのような被害をもたらすのか。
下記の画像に沿って解説していきます。

引用:国土交通省北陸整備局,深層崩壊について
①崩壊土砂の崩落
これは要するに土砂崩れによる被害です。
滑落した土砂により、住民が住む民家に直撃して飲み込まれる。
しかし一般的な表土崩壊による土砂崩れと違い、
土砂の量が岩盤を含んでいる分多くなっており、より広範囲に被害をもたらします。
土砂崩れについては下記記事で解説しています。
②土石流の流下
滑落した土砂が河川になだれ込み、
土砂と水が入り混じりながら凄まじい速度で川を下る危険な土石流。
突然鉄砲水のように襲いかかってくることから非常に危険性が高い土砂災害です。
土石流については下記記事で詳しく解説しているので、
チェックしてみてください。
③河道閉塞(天然ダム)の形成と決壊
これが一番危険性が高い現象 河道閉塞
何が怖いかと言うと、大量の土砂により川を塞き止めて天然ダムを作ってしまう事なんだ。
少量の土砂であれば、天然ダムに貯めておける水の量はそこまで多くはならない。
でも深層崩壊によって大量の土砂により塞き止められた河川は、
大量の水をせき止めることになります。

引用:国土交通省北陸整備局,深層崩壊について
でも塞き止められる量に限界はあります。
山の上から絶えることなく水は流れてくるので。
では、この大量の水を塞き止めきれなくなった天然ダムが決壊してしまったら、
どうなると思いますか?
答えはご想像の通り、大量の水と土砂を含んだ濁流によって、
下流は氾濫してしまいます。浸水被害もとてつもない広さに。
一つ恐ろしい深層崩壊による天然ダムの形成の実例を上げます。
1847年5月8日 善光寺地震(推定M7.4)により、岩倉山で大規模崩壊が発生した。
土砂は千曲川流域の犀川をせき止め天然ダムを形成した。
崩壊面積0.84km2、崩壊土砂量約8,400万m3
天然ダムの高さ約65m、満水湛水量約3億m3
19日後に決壊し、上下流に被害をもたらした。引用:国土交通省北陸整備局,深層崩壊について
天然ダムの高さが65mってえぐくないですか。
このダムに3000億リットル?入っていた事になります・・・・
こんなのが決壊でもしたら大惨事になりますよ。
深層崩壊の発生件数
これは年間1000件ほど確認されている模様です。
※国土交通省の砂防HPより。
台風15号や台風19号の影響で大雨が連続して降り続いており、
かなり地盤がゆるくなっているので警戒が必要です。
深層崩壊のメカニズム

深層崩壊のメカニズム
次に深層崩壊は一体なぜ起こるかについてのメカニズムを解き明かしてきます。
一般的に深層崩壊は下記の要因により発生するとされています。
深層崩壊の誘因
特に多いのは長時間の降雨によるものが多いとされています。
下記のデータは国土交通省より引用したデータです。

引用:国土交通省北陸整備局,深層崩壊について
圧倒的に降雨により誘発している物が多数です。
豪雨が長引く場合は警戒が必要であることがわかります。
豪雨に次いで地震により深層崩壊が起こる事例もいくつかあります。
震度6以上での地震により起きている例が多いです。
深層崩壊が豪雨で引き起こされるメカニズム
なぜ岩盤もろとも崩れるのでしょうか。
ここが一番の疑問だよね。
結論から言うと、岩盤の隙間から水が流れ込んだ影響で、
地下水が溜まり、岩盤を支える力が岩盤が滑り落ちようとする力に負けてしまうことで起こる。

引用:国土交通省北陸整備局,深層崩壊について
上の画像のようにオレンジ色の岩盤内に、
豪雨によって地下水が徐々に徐々に溜まっていき、
オレンジ色の岩盤を支える力が溜まっていった地下水によって弱まってしまう。
そうして支え切れなくなった岩盤ごと崩れ落ちてしまうといったメカニズムです。
深層崩壊はどこで起こる

深層崩壊 どこ
恐ろしい土砂災害であることがわかった所で、
深層崩壊が起きそうな場所はどこなの?ってところが疑問になってくるよね。
これは国土交通省がまとめてくれていて、
全国で深層崩壊が起こる可能性がある場所をわかりやすくマッピングしてあるんだ。

引用:国土交通省,深層崩壊推定頻度マップ
詳しくみたい方は下のリンクからPDFファイルを確認できます。
赤丸が実際に深層崩壊が起こった場所です。
ピンクが一番危険性が高く注意が必要な場所です。
やはり山岳地帯である長野県付近が危険性が高いですね。
深層崩壊推定頻度区分の都道府県別構成比の表からも、
長野県がダントツで危険性が高いと数字で出ております。
深層崩壊のメカニズムまとめ
台風の季節は非常に多くの箇所で雨が降り続きます。
積乱雲が発生しやすい時期でもあるため、
夏から秋にかけて非常に土砂災害には警戒しなければなりません。
被害に合わないためには、色々な情報を仕入れて、
常に先手を打てるようにしておきましょうね。
以上、防災やってみたのこーちゃんでした。
ばいばいばーい